ジャニーズ事務所に追徴課税って?

法人税

ジャニーズ事務所が所属タレントに渡した「お年玉」が経費として認められず、追徴課税されたというニュースです。(時事通信ニュースより)

会社は日々、色々な支出を経費として計上しています。仕入による支出、お給料の支出、取引先への接待の支出などなど。

会社が計上した経費と、あるべき経費処理(税法上の処理)が一致していれば、何も問題はありません。
例えば、仕入の仕訳を、会社が計上したものとあるべきものとで比べると、

上記のように一致していて差異がありませんので、問題ありません。

今回、ニュースになった「お年玉」についての仕訳を見てみましょう。

会社はお年玉を「交際費」として計上していたようです。お金の流れは会社→役員→各タレントとなりますが、会社から役員へお金を渡したタイミングで交際費としたのでしょう。

しかし、この現金は結局、社外ではない身内のタレントに渡ったものですから、役員個人のプライベートな出費とみなされ、会社から役員への「役員賞与」として計上するのがあるべき仕訳になります。
(これを認定賞与といったりします。)

会社が計上した仕訳と、あるべき仕訳の差異は「交際費×→役員賞与〇」となります。

「別に勘定科目が変わっただけなんだから、会社が計上した利益と、あるべき所得は同じじゃない?」と思われたかもしれません。

ですが、役員賞与があるべき仕訳となると、原則として会社側は①役員に支給する賞与の額を事前に届け出て②その通りの額を役員に支給していないと、損金(税法上の経費)として認められません。

仕入であればほぼノールックで損金算入OKだったものが、役員賞与だと損金かどうか厳しくチェックされることになるのです。

役員賞与と認定されることは、ほぼほぼ損金不算入(税法上の経費とは認めないこと)と同義になります。

今回、会社は交際費で処理していたので賞与として届け出ているはずもなく、交際費として認められないのはもちろん、損金(税法上の経費)としても認められません。そうすると会社の利益とあるべき所得の差異は、

上記のように100となり、会社は本来であれば利益が100多くなっているべきとなります。
税金は所得から算定するので、そうなると支払う法人税が大きくなってしまいます。

さらに、役員賞与だったならば、源泉所得税を徴収していないといけなかったのですが、交際費で処理していたのでそれも徴収できていません。

この源泉所得税については、会社が国に支払ったあとで、会社は役員から後日回収することになるでしょう。(お金の流れ:国←会社←役員)

さらにさらに、役員賞与だったならば、消費税も多く支払わなければいけない可能性があります。

なぜなら、簡単に言うと消費税の計算上、交際費は経費となりますが、役員賞与は経費とならないからです。

このように、ひとつの支出を巡って色々な種類の税金が追加された結果、4,000万円の追徴課税となったものと思われます。

交際費処理を、あるべき役員賞与に直すと
          ↓

①法人税が増える…役員賞与が損金(税法上の経費)として認められないから

②所得税が増える…役員賞与&源泉所得税として処理していなかったから

③消費税が増える…役員賞与が消費税の計算上、控除できないから