対応は大きく3つに分類される!
「電子帳簿等保存制度」とは、帳簿書類や電子取引について保存の仕方を定めた制度です。
どういう風に保存してくれと言っているかというと、帳簿書類等の種類によって3つの方法で保存してくれと言っています。
①仕訳帳・総勘定元帳・決算書・請求書控などを会計ソフトで作った場合、最初からデータとして保存されていますよね。そういったはじめからデータ形式で作成された帳簿や書類等は、データのままで保存していいよ、と言っています。わざわざ紙で出力して保存する必要はないよ、という意味で任意と書きました。
②紙で受け取った請求書や領収書はスキャナで読み取って電子データとして保存してもいいよ、と言っています。紙のままで保存することも容認されているので、任意と書きました。
③例えば、取引先からメールで受け取ったPdf形式の請求書などは、電子データのまま保存してね、と言っています。紙で出力して保存してはダメだよ、という意味で義務と書きました。
この3番が義務規定なのでポイントになるところです。
ここで、①のデータのままで保存してもいいよと一口でいっても、ただ保存しておけばよいというわけにはいかず、いくつかの要件を充たさないとデータ保存を許してくれません。
それらの要件を以下で見ていきます。
①電子帳簿等保存のやりかた
1.パソコン、モニター、プリンター、ソフトを設置する
2.上記のマニュアルを備え付ける
3.事務手続きを明らかにした書類を備え付ける
4.ダウンロードの求めに応じられるようにしておく
①の電子帳簿等保存については上記4項目を充たせば大丈夫です。
3.の「事務手続きを明らかにした書類」とは、いつ・誰が・どのようにして帳簿等を作成し、またそれを誰が管理しているかを記した書類です。
上記のようなサンプルを自社用に改編して作成します。
②スキャナ保存のやり方
※②についてはタイムスタンプを導入しない場合のスキャナ保存について書いていきます。
1.パソコン、モニター、プリンター、ソフト、スキャナを設置する
2.訂正削除履歴が残る or 訂正削除できないクラウド等に保存する
3.事務手続きを明らかにした書類を備え付ける
4.ダウンロードの求めに応じられるようにしておく
3.の「事務手続きを明らかにした書類」とは、いつ・誰が・どのようにしてスキャンし、またそれを誰が管理しているかを記した書類です。
これも②と同様、上記のようなサンプルを自社用に改編して作成します。
問題は2.で、訂正削除履歴が残るor訂正削除ができないクラウド等に保存ということで、単にクラウド上に保存しておけばいいというわけにはいきません。
スキャナ保存ソフトを導入する必要がありますが、月額数万円以上かかる高額な製品が目立ちます。今後制度が浸透するにつれて安価な製品が登場するのを待ち、現状は紙のままで保存するでもよいと思います。
③データ保存のやりかた
※③についてもタイムスタンプを導入しない場合のデータ保存について書いていきます。
1.パソコン、モニター、プリンター、ソフトを設置する
2.すぐ検索できるようにしておく
3.事務処理規程を備え付ける
4.ダウンロードの求めに応じられるようにしておく
3.の「事務処理規程」とは、電子取引に関する電子データの訂正や削除についてのルールを記した書類です。
2.の「すぐ検索できるようにしておく」とは、「いつ・誰と・いくら」を検索ワードにした時、検索にヒットするようにデータを管理しておいてね、ということです。
やり方としては以下の2つが紹介されています。
・ファイル名に「いつ・誰と・いくら」を入れる
・ファイル名は連番にして、それとは別に索引簿をつくる
「いつ・誰と・いくら」の情報をファイル名に入れる場合、ファイル名を例えば「20220628_〇×商店_115,000」のように変更すればよいです。
もう一つの方法は、ファイル名は「①」などの番号のみにして、それとは別にエクセルなどで「いつ・誰と・いくら」を記載した索引簿をつくる方法です。
まとめ
①電子帳簿等保存と③データ保存は、事務処理ルールを作成するのが手間なものの、それほど厄介なものではありません。
しかし②のスキャナ保存は、削除履歴が残るか削除できないシステムを導入する必要がある(またはタイムスタンプを導入する)ということで、手間とコストがかかることが懸念されます。
相手から発行してもらう請求書や領収書を、紙でなく電子データで発行してもらうように働きかけることも一案です。