前払費用を会計ソフトに入力しよう!
「前払費用」という勘定科目をご存じでしょうか。
前払費用は経過勘定といって、支出したけどまだ費用にならないお金に使う勘定科目です。
よく使われる例としては、「支払家賃」があります。家賃を払う時って来月分を今月中に先に払っておくことが多いかと思います。来月の費用(家賃)を今月に前払いします。そういう時に前払費用を使って仕訳を起こします。
(例1.)2021年10月から新しいアパートに入居した。家賃は次月分を毎月27日までに支払う。
弥生会計などの会計ソフトに、家賃の支払いを記帳していくと上のようなイメージになります。
前月27日に家賃を振り込んだ時は、まだ費用項目の地代家賃でなく前払費用を使います。
月が変わって1日になったら、計上してあった前払費用を地代家賃に振り替えます。
(振り替えるとは、元々計上していた勘定科目を新しく計上する勘定科目と入れ替えることです。)
振り替えるには、計上してあった前払費用を逆側に書いて、前払費用があった場所に地代家賃を書きます。10月中の仕訳がセットなのではなくて、月をまたいだ9月27日と10月1日の仕訳がセットなのがポイントです。
年末までの記帳が終わり、前払費用11万円が貸借対照表に残っています。この11万円は年が変わって1月1日に地代家賃と振り替えます。
期中の仕訳がなんか変。そんな時は
(例2.)例1の翌年分を1年間、記帳した。
年が変わって2022年分を1年間記帳しました。おや、なにか変です。
前払費用が計上されていません。
オーナーは2022年忙しく、年の途中で見直す余裕がなく、年末になってはじめて異変に気付きました。
実は2022年からはアルバイトの方を雇い、会計ソフトの入力をやってもらうことになったのです。
その方は家賃が前月払いだと知るよしもありませんので、預金通帳の支払欄を見ながら毎月27日の支払を地代家賃として記帳してくれていました。
本来ならば、毎月27日の支払いは地代家賃勘定でなく、前払費用勘定でなくてはなりません。
また、前払費用勘定を計上していないので当然1日の振替仕訳も計上されていません。
こんな時はどうしたらいいでしょうか。地代家賃勘定を前払費用勘定に直してそれから振替仕訳を計上して、ということを12か月分やったらいいのでしょうか。
もちろんそれでも構わないのですが、期中に1度起こした仕訳は極力直さない方がいいことが多いです。
数字がズレた時にどこを直した結果ズレたのか分からなくなってしまう可能性があるからです。
また今回の場合は12か月分直す時間がないということもあります。
そこで、こうします。
(例3.)決算整理で以下のように修正した。
アルバイトの方が入力した2022年分ですが、お尻の数字(2022年末の残高の数字)は
・地代家賃132万円
・前払費用11万円(前年計上分がそのまま当年末まで残存)
となっていて、キチンと毎月前払費用を計上した場合と変わりません。
ですので、お尻の数字だけを見るならばこのままでも良いワケです。
ですが、やっぱり前年の前払費用が計上しっぱなしになっているのは問題があるので、
前年の前払費用を消して、当年末計上するはずだった前払費用を決算整理で計上します。
(決算整理というのは、12月31日を超えてから計上する事項で、年中の修正事項・棚卸・減価償却などがあります。)
それが上記の仕訳です。
借方「前払費用」貸方「前払費用」ではパッと見てどんな仕訳か分からないので、摘要欄という仕訳の内容を説明する欄を使って、振替えである旨を説明します。
もしも同じシチュエーションに出くわしたら、参考にしてみてください!